東京都下ホール営業再開の真実。~いかにして営業再開を勝ち得たのか?~

お初にお目にかかります。「末端業界人D」と申します。

以前、こちらの編集部のジャンク氏と一緒にお仕事させていただいたことのあるご縁から「今回の東京都の営業再開についての業界関係者の尽力を少しでも多くのユーザーの方にも知ってほしい」という思いを伝えましたところ、社長にもご快諾いただきこのような場をいただける運びとなりました。ご了承いただき、誠にありがとうございます。

耳慣れない言葉も多いかと思いますが、しばらくのお付き合いを頂戴できればと存じます。

緑色の文字説明はタップ(クリック)すると説明が現れます。

緊急事態宣言は解除されたものの……

5月25日の緊急事態宣言の解除に伴い、各業種営業再開自体は特に珍しいものではないですが、東京都のホール営業においてはいまだ賛否両論が入り混じっている状況。というのも、パチンコホール業は東京都が独自に設定した感染拡大防止対策ロードマップのSTEP3に該当され、ある一定の基準を満たさないと、営業再開が出来ない業種に分類されてしまったからです。

しかし、東京都のホール営業を管轄する都遊協東京都遊技業協同組合の略称。全日遊連(全国のパチンコホール組合)下にある東京都のパチンコホールをまとめる協同組合。全国に全日遊連下の組織は51ある。(47ではなく、51なのは北海道に4つあるから。広いのでね。北海道は。)からしたら、「え?なんで営業できないの?」になるわけです。全国的な緊急事態宣言の解除に伴い、各都道府県のパチンコホールの営業は順次再開されていたわけですから……。

例えば、都の隣接県の埼玉県は営業再開に向けて特に制限をかけませんでしたし、神奈川県においても、基本的には営業再開を許しました。ただし、県民に向けては「営業はしてもいいけども、みんなあんまりいかないでね。」という節度をわきまえるよう民意に託すような手段を取っています。パチンコホールに限った話ではないですけどね(スポーツジムやキャバクラ等)。

東京都「だけ」が「緊急事態宣言解除は関係ありません。わたしのロードマップに従ってもらいます」と指示を出したわけです。



こうなってしまっては、都遊協はたまったものではない。特に、都遊協の理事長は業界的には言わずと知れた「阿部恭久(あべやすひさ)氏」。

知らない方の為にざっくり説明させていただきますと、ここ数年全日遊連全日本遊技事業協同組合連合会の略称。全国のパチンコホール組合の共同組織。ファン感の開催や不正防止やのめり込み防止対策等を展開する全国組織。の理事長を務めあげてきた御仁です(都遊協の理事長も兼任)。在任中に社会貢献団体の設立やのめり込み防止対策としてリカバリーサポートの設立~NPO法人格取得に尽力した方でもあります。

対策事がネガティブなものが多いことから貧乏くじを引かされた印象(※個人の意見です)ですが、一つ一つの対策を真摯に対応した結果、2020年度においても再任がほぼ当確視されており、アフターコロナの業界においてもその手腕に期待がかかる方です。

わかりやすいところで言えば高射幸性機の完全撤廃において、シェアコントロール案を基に所有する高射幸性機を段階的に撤廃していきましょうよと各所に進めた団体がでその旗頭となった方がこの方です。


今回の対応も実に見事で、東京都のロードマップ発表後の都遊協の動きが迅速かつアツかった。解除後すぐに「東京都のロードマップに従うかどうかは各店舗の判断に任せる」と発表し、かつ「今後協力休業は要請できない以上、責任を取って全理事を総辞職する」と発表しました。


解除に至るまでに全日遊連を先頭に国に対しても様々な交渉と働きかけをしてきたわけです。

その結果勝ち取ったものを東京都の顔色を窺っていては、すべてを失うことになりかねないわけです。では実際、何を勝ち取ったかというと……

1. 公的融資対象業者としての見直し
2. 規則改正(経過措置機の設置期限延長)


この2つを得るために全日遊連がいかに骨を折ってきたことか……。特に2の経過措置延長を勝ち取ったことは今後の業界的には大きな価値を持つことになるといっても過言ではないのです。

これらを勝ち取ることなくして、ここまでスムーズな営業再開は見込めなかったし、営業再開の正当性を得ることは出来なかったはずです。

以下順を追って説明させていただきます。

公的融資の対象業者になること

今回の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、協力休業の要請に従うことを与儀なくされたわけですが、要請当初は「休みに協力はしてね。補償は……むにゃむにゃ……」みたいなレベルだったわけです。それに対して組合が振り上げた拳が「補償無くして協力無し!」だったのです。

そこで、思い出されるのが東日本大震災後の輪番休業問題。「拘束力がないなら、しーらない」とばかりに「やったもん勝ち」が横行してしまいました。要は有事の際に組合があっても、非協力的な営業種と思われていたわけです。

ならば、国としても「補償の対象内にする必要はあるまいな」と思われても至極全うです。

しかし、今回に関しては、そうは言っていられません。要請に従わなければ、補償してもらえない可能性があるわけですから。そこで都下の組合員に対して要請に従うように「強めの指示」を出すことになります。

「協力休業に従え。さもなくば、組合除名。」

こんな強気な要請を出すのってまぁまぁ珍しい。 というか、これまでの組合からの文書を紐解いても初めてなんじゃないかってくらい。

しかし、これだけの強気の要請をするのにももちろん理由があります。この公的融資の対象業者になるにあたり、その対象者とするためには、財務省や経済産業省の許可がいります。その審査に当たってはもちろん、監督省庁に確認を取りますね? 業界の監督といえば、言わずもがなの警察庁です。で、その警察庁が

「今、業界は頑張って射幸性を落とす取組をしているよ。まっとうになってきてるよ」

と説明してくれたからこその補償対象業者に入りこめたわけです。
(もちろん、こんな簡単な問答で決まったわけではないですが…)

この警察庁の働きかけに対して、顔を潰さない、また社会的信用を得るためには「協力休業しろ。しなきゃ除名」の動きになったわけです。


これらの動きが起きたのが4月の下旬のこと。

融資を得ることが出来る業者になったとはいえ、1ヶ月に及ぶ休業は厳しい。となると次は営業再開後に向けた金策を取る必要があります。

ホールで一番費用がかかる取り組みと言えば……。そう。新台入替です。その新台入替を抑えるためにやらなきゃいけないことが「経過措置延長」を勝ち取ることになります。

経過措置延長を勝ち取ること

協力休業に応じて、補償の対象内になったとはいえ、金策が順調になったわけではありません。特にパチンコホールは「出玉を出さなきゃ出さないで、客は減るし、出したら出したで金策に苦しむ」ということになります。

「コロナ休業明けだから、抜いてもいいよね?」が通るほどユーザーが甘くないことも理解しているホールがほとんどと思います。

となれば、設置機種の入れ替えを抑える必要がある。そのためには、5号機⇒6号機への入替スピードを落とす必要があります。それらを可能に出来る必殺技が「経過措置延長」になります。

この経過措置を勝ち取るまでのスピード感がものすごかった。

5月1日(陳情)→5月14日(改正通知)→5月20日(交付/施行)


もちろん、コロナ禍という特殊な状況ということもあるかとは思いますが、類を見ない速さです。

このスピード感は業界団体すべてが協力しないと出来る事じゃありません。そうなんです。文字通り、「業界6団体」がすべて協力/一致したからこそのスピード決着だったんです。
※業界6団体(全日遊連全日本遊技事業協同組合連合会の略称。全国のパチンコホール組合の共同組織。ファン感の開催や不正防止やのめり込み防止対策等を展開する全国組織。日工組日本遊技機工業組合の略称。パチンコメーカーによる組合団体。大体のパチンコメーカーが加盟。日電協日本電動式遊技機工業協同組合の略称。パチスロメーカーによる組合団体。大体のパチスロメーカーが加盟。全商協全国遊技機商業協同組合連合会の略称。パチンコ・パチスロ台の販売業者による組合。回胴遊商回胴式遊技機商業協同組合の略称。パチスロ販売業者による組合。パチスロサミットを主催。日遊協日本遊技関連事業協会の略称。ホール、遊技機メーカー、販売商社、設備メーカー、景品卸等遊技業界に関わる様々な業種が属する組合。業界唯一の各組合の横断的組織。

ホール団体をもちろん、パチスロメーカー組合、ぱちんこメーカー組合、中古機流通組合等すべての組合が「ホールの未来無くして、業界の未来無し」に団結できたのです。


ただし、警察庁も無条件での了解ではありません。これらの期限延長を勝ち取って改めて業界は「試されている」わけです。

というのも、設置期限は1年延長されましたが、5号機の完全撤廃に向けての期限は7か月しかありません。なぜか? 想定しうる事情はこんなところでしょうか?

1. 今後のコロナ影響下第2波への保険
警察庁としては、1年延ばしたよ。もし、この後コロナウィルス影響の第2波が来て休業を余儀なくされることがあっても、5ヶ月の余裕があるから、再延長やさらなる規則改正はしないよ、という表れ。

2. 業界に突き付けられた課題
「業界6団体」の合意なら、スピード感をもった撤去計画立てられるよね?であれば、今後15%を目安に撤去していけば、7ヶ月あれば、達成できるよね?それを出来るかどうかのテスト。

3. 警察庁に1年では長いと却下された?
例えば、
「1万円貸して」と聞いて
「えー。1万は高いよ。」と言われたら
「じゃあ、7千円でいいから。」と少しずつ値段を下げて交渉しますよね?

それと一緒で、もし警察庁が「1年でいい」と言えば、業界から「いやいや、7ヶ月で」
とは言いません。
「1万円貸して―」「いいよー」
のあとに、「いや、7千円でいいから」とはならないでしょう?

なので、おそらくは「まず」組合は1年の延長をお願いしたはずです。
それが、「長い」と却下されたから
「では、7か月でいかがでしょう?」
「やれるの?(やれなかったらわかるよね?)」
「やります!」
という流れがあったのではないかと推察できます。

これら、スピード感をもって勝ち取ったことで、業界としてまずは、再開に向けたスタート地点に立てることになります。

合わせて5月14日の緊急事態宣言緩和検討の際に営業再開を認めてもらうよう陳情しています。もちろん、感染拡大や集団感染の予防措置を講じたうえでの再開の陳情です。

しかし、それに対しての回答を得ることもできず。時間だけが過ぎていきます。それでも、都遊協としては、都下の営業再開ホールに対しては、休業要請を繰り返しています。東京都がどうとかではなく、感染拡大を防ぎ、さらなる惨事にならないために協力を継続するよう要請を続けていたわけです。

TUCショップ(東京都の金買取ショップ)が営業停止中なのに、交換業務をしていては、「自家買い」や「買い取らせ禁止」に抵触するよ、などのある種、脅しともとれるような強い文言で要請を継続していました。

それでも、再開の是非が出ぬままに5月25日に緊急事態宣言が解除されました。「これにてようやく……」のところで。

東京都のロードマップの登場です。



歴史的偉業を、未来に繋げるために……

多分、都遊協的には「ふざけんな!」というよりは「いやいや、さらに1か月再開後ろ倒したら、ヤバいから……」が本音じゃないでしょうか?

金策的にも。入替計画的にも。

経過措置延長は言ってみれば、「チャンスゾーン」。
このあと、「ボーナス」当選があるかどうかはこのチャンスゾーン次第であるわけです。

パチスロのモード移行っぽく言えば、このチャンスゾーンは外したら最後。たぶん地獄Aにおちます。地獄Aは最悪地獄Bの入り口になりかねませんから、落ちたら、通常状態に戻すのは極めて難しい状況になる可能性があります。負の無限ループ状態に陥ること必至です。下手したら、監督官庁が警察庁じゃなくなる可能性すら出てきます。

その結果として、「金交換景品との交換の禁止」やさらなる射幸性抑制のための規制が起こり得ても不思議はありません。

ただし、もしこのチャンスゾーンをものにしたら「射幸性抑制を維持し続ける事」を前提に規制緩和の陳情もしやすくなり、またその発言にも説得力が生まれます。結果として、業界の社会的地位の向上という「ボーナス」を得られる可能性が出てきたわけです。


ただ、これまでボーナスはもちろんのこと、こういうチャンスゾーンを得る事さえできなかった。ましてや、業界6団体が一枚岩になることもなかったわけですから、大いなる一歩です。コロナ禍という大変な時期においての業界的には唯一の希望であり、歴史的偉業です。

この偉業無くして「ウィズコロナ」の状況下は乗り越えられないでしょう。


もちろん、まずは一枚岩になったことは「業界的」な偉業であって、この偉業無くして、今後の未来は描けないものだとは思います。「団結したぜ!偉いでしょ?」では「社会的」な偉業としては認めてくれません。今後はその結果どうなったか?というものを見せなくてはならないと思います。

立場毎で考察すれば、まずは遊技機メーカー。1も2もなく6号機におけるヒット機種の誕生。これまでも「6号機にしてはまぁまぁ……」みたいな台の誕生はいくつか見られましたが、それでも5号機全盛ともいえる、高稼働、長期稼働は見込まれておりません。まずは、6.1号機パチスロ、遊たいむ搭載機ぱちんこのヒット機種を生み出すことが必須でしょう。

ホールにおいては、「アフターコロナ/ウィズコロナ」の中でいかに安心してきてもらえるか。これに尽きると思います。基準の粗雑なロードマップもあって、これまで「嫌ぱちんこ」で叩いていた人々も「ぱちんこは嫌いだけど、今回のロードマップでの扱いはちょっと……」というような見方が見られるようになったと思います。集客にのみとらわれない、余暇産業としての在り方。そこを見直すきっかけがあったかと思います。

もちろん、メディア媒体に集客を依存していたお店もあるわけです。そういう意味では、業界内のメディア媒体も今回のコロナの影響で売り上げ的なダメージはあり、それらもすべて自粛するということでホールの信用獲得に一役を担うという側面があったことも否定できません。

そういう意味では、広告宣伝も含めた「一致団結」もあったでしょう。まぁ、一部「やったもん勝ち」が横行した事実もありますが、それでも業界的には8000店舗超ある店舗のうち約95%が休業に協力した実績があります。

あえて、上から目線で言わせていただければ、「やればできる」んです。であれば、これまでのことを水に流すわけではないですが、これまでの経験を生かして、今後に生かし、状況に応じた色を変える産業であれば、業界存続の価値も高まると思います。

一歩先の未来を描くことさえできなかったコロナ禍の中でここまで考えられるようになったのは、上記した業界的な大きなうねりが起きたからであり、うねりを起こすのには、それ相応の体力と精神力を伴うものです。

ここに至るまでの阿部氏をはじめとする、業界幹部連の方々の並々ならぬ尽力とそれらに応えてくれた上位省庁の方々にねぎらいと感謝を込めて。この稿を了とします。

筆者プロフィール
末端業界人D
1980年生まれ 東京育ち。
某メーカー(アミューズじゃないよ)の特許事業部の下請けから始まり、現在はアミューズに限らず、請負設計から製造まで、各階層の仕事をしている。座右の銘は「情けは人の為ならず」

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